外国人労働者にとって日本は本当に「夢の島」？
毎週楽しみにしているドラマ「MIU404」。
何といっても、綾野剛と星野源が大好きで！この2人が出ていたコウノドリも毎週欠かさず見てたし、今回は2人が相棒だなんて、こんなに私得なドラマはないわけです。話も面白いし、考えさせられる場面も多い。
第5話タイトルは「夢の島」。日本で働く外国人労働者（留学生や技能実習生、最後に特定技能の話もちらり）がメインの話だった。
私は日本語教師として働いている。ドラマで出てきたような日本語学校ではなく、技能実習生として日本に来た外国人に対して初めの1ヵ月だけ日本語や日本のルールについて教える仕事だ。相手はみんなベトナム人。
だから働く中で感じていたこと、今回のドラマで描かれていたことがリンクして、苦しくなることもありながら見ていた。
「夢の島」
「借金してまで日本にやってくる。ジャパニーズドリームです」
この仕事を始めてまだ2年弱だけど、「ジャパニーズドリーム」は働き始めてすぐに感じた。昔言われていた「アメリカンドリーム」のような幻想が日本に対してある。かなり大きく具体的な憧れとして。
日本人はお金持ち。日本に行けばいい仕事といい人がいて、家族のためにたくさん稼ぐことができる。日本に来るベトナム人のほぼ全員がそんな希望を抱いてやってくる。借金をして。
「なんだってそうだ。まともにやろうとする人間と、抜け道探して悪さする人間がいる」
この仕事をしているとよく「外国人の給料ってめちゃくちゃ低いって本当？」と聞かれる。私はあくまでー日本語教師なので、詳細は知らないけれど、私が関わってるベトナム人が行く企業は不当な扱いをするわけではなく、最低賃金のところは多いけれど、きちんと働いた分の額を払っている。
残業に関しては、実習生の方から「したい」と言う子が多い。残業をした方がたくさん稼げるからだ。だから、残業が少ない企業に行く子は残念がる子もいる。もちろんその残業代もきちんと支払われている。
「日本人、私たち（外国人労働者）いらない。
欲しいのは、文句ない、言わない、
お金かからない、働くロボット」
ただ、悲しいことに、中には本当に外国人をただの人員しか扱わない企業や管理団体もある。それは相手国に原因がある時もあれば、日本側に原因がある時もある。
改善しようにも企業自体がそういう考えであればなかなか難しく、どんな企業に行き、そこでどう過ごすかは、究極その子の運だとしか言えない時もある。面接は本人の意思で行きたい企業を選ぶけど、ブラックがどうかなんて見極められないし。日本人が日本の会社を選ぶのにも苦労するのに、まして外国なら尚更。
だから、私にできることはただひとつ。
「これから会う人みんないい人だといいなあ」
いい企業でありますように、いい人がいますように、しっかりした条件の中で働き、きちんと稼げますように…。ただ願うしかない。それしかできない。悲しいけれど。
毎回毎回「幸あれ」…そう心の中で声をかけて、希望に満ちた背中を送り出す。せめて、と私が一緒に過ごせる期間はなるべく日本を、日本人を好きになってもらえるように、いい思い出を作れるように、工夫している。たとえこの先嫌なことがたくさんあっても、あの授業の時だけは楽しかった…そう思ってほしい。もちろん、授業以上に楽しいことに溢れた毎日を送れるのが1番なのだけど。
「日本、嫌い、なりたくなかった」
私もそうだ。嫌いになって欲しくない。同時に、日本人がベトナム人を嫌いになるようなことにもなって欲しくない。
賃金や労働条件だけでなく、一緒に働く日本人の理解も重要だ。国が違うのだから、常識、文化、習慣が違うのは当たり前。私も最初はその違いに驚いた。
でも、その違いを楽しめたら、お互いがもっと楽に笑顔で毎日を過ごせる。日本と違うことすると、だんだん笑えてくるもんね。「えー！なにそれ！」って受け入れて、何が違うのかを教えれば彼らはきちんと理解してくれる。日本のルールを守ろうとしてくれる。
それには、きちんと言葉を尽くすことが大事。信頼関係が大事。言葉なんて通じないし、と諦めるのではなく、簡単な日本語でもいいから、理解しようと歩み寄ればあっちも心を開いてくれる。そしたら、互いが互いを尊重できる社会になれるはず。
追記。
「大丈夫、どういう意味？」
「大丈夫？OK？NO？」
ドラマで出てきた「大丈夫」の意味の話。これこそ日本人らしい表現だよね。あと、「お願いします」も、外国人は自己紹介の「よろしくお願いします」でしか覚えていないから、何かを頼む時にも言うのがぴんとこないことも多い。
こういう小さなほころびから、大きな問題になってしまうことが本当にたくさんある。忙しいとは思うけど、少しでも時間をとって彼らの疑問や言葉に耳を傾けてくれる人が増えることを願ってる。（ああ、結局願うことしかできない…）
#毎日更新85日目
