茶の湯、茶の道。相手のために、一期一会の一服を。
がさつでズボラで、猫背な私が、唯一口をつぐみ、背筋をピンと伸ばすのは茶道の世界に浸っている時。
聞かせるべき時だけ耳に届く所作の音、湯の湧く音、お茶を点てる音…。季節のお茶碗、花、お菓子…。耳で聞いて、目で見て、そして香りを味わって、私にとって何よりも贅沢な空間は茶道。
五感だけにとどまらない、何とも言えない心地よさがあって、心がすっとして何もかもリセットされる気がする。
高校の時に部活で2年半、大学3年生から2年間。そして縁がつながり、去年の秋からまた茶道とのかかわりを持てるようになった。やってみて思うのは「あぁ、やっぱり私は茶道が好きだな」ということ。
たまらなく好き、というか自分の波長に合っているんだと思う。何はなくとも楽しいし、何でもないことも楽しい。
うきうき、るんるんする楽しさというよりは、心がじわっと温まってくる楽しさ。
茶道には「決まり」がたくさんあって、なんだか難しそうと思われがちだけど、その「決まり」はすべて誰かのためのもの。
お茶を待っているお客さんのために、客は点ててくれている人のために。どちらも気持ちよくその時間を過ごせるように、心遣いを真に受け止め、自分もまた返す。それの繰り返し。
お点前をしている時、頭で考えるよりも先に手が動くことがある。思わず笑みがこぼれるほど、その瞬間がたまらなく気持ちいい。相手のために、一期一会の一服を。
これからものんびり、ゆっくり、茶道を楽しんでいこう。