つむぎめむすび

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【まほり/高田大介】驚転ミステリ!?ひと夏の初恋冒険物語!?

どうも。図書魔女にとり付かれた女です。そんな私がついに手を出しました。「図書館の魔女」の作者の最新作「まほり」。

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発売されてからしばらく読んでなかったのは、今までと系統が違ったから。ファンタジーでもなかったし、え、ミステリー?え、怖いの?と思ってなかなか手が出せなかった。

でも、まあ、読んでみたら最後だよね。二重丸にぞっとしながら駆け足で読み進めてた。

 

民俗学言語学社会学、古典文学、史学…。えーっと一体いくつのジャンルに精通しているんでしょうか…?って思うほど、渦を巻いて吐き出されてくる知識、知識、知識。むしろ作者の知識量の方が怖くなってくるレベルだったよ。でも、図書魔女を偏愛してる私からしたら、「おおーこれこれ!」という気持ちもあったり。笑

私は大学で近世(江戸時代)文学を専攻してたから、かなり面白かった。というかひたすら懐かしかった。文章の中の漢字を漢字として読むか、ひらがなとして読むか問題あったあった!と思いながら。漢字のまま読んでてずっと文意を把握できなくて、ひらがなとして読んだ瞬間道が拓くみたいな経験、何回したか分かんないもん。
あと「庚申待」って言葉見たのもゼミ以来だったよ…。まさか、大学を離れた日常生活の中でお目にかかると思わなかったよ。もうどんだけ練り上げられた作品なんだ…。

途中までは一緒に卒論を書いてる気分になり、「あああ、私が教授にされてた指摘と同じだあああ嗚呼」と久しぶりにあの頃の苦い気持ちを思い出し、参考資料の数々に、むしろこれって卒業研究をむりやり「物語」という枠にいれてるのでは?と思ったり。

図書魔女の時も、あの、水跳ね上げさせるやつ(名前忘れた)…の絵が添えられてて、「小説なのに、どんだけ専門的な理解を求めてくるんだよ!」と思ってたけど、今回もそれでしたね、完全に。はい、好きです。めちゃくちゃ楽しい。

 

ミステリーというより卒論?と思いながら読み進め、そして段々、いやこれ、「ひと夏の初恋冒険物語」じゃね!?って思ってきて(笑)だって、なんなのあれ、裕も香織ちゃんも、青春しちゃってんじゃん。淳くんだって。途中途中「いや、お前ら楽しそうやな」って思ってたよ、私(笑)

 

とまあ、作者の罠にまんまとハマりながら読み続け、ラスト3章は図書魔女の4巻中盤を思い出す、本を読む手が止められない展開だった。
裕の母親についてなんとなく予想はついてたけど、ラスト数ページでどうやって片付けるんだろうと思っていたら、「なるほど、そうするか!」とまた驚いて。やられた感すごかったなあ。あの描写だけで読者に全てを分からせるために、今までのことがあったんだなって思い知らされるんだよなあ。図書魔女にしたって、烏の伝言にしたって。終わり方が好き。だから安心して読める。

まほりに関しては、絶対に最後までラストページだけは開かないことを誓って読むべき。もし何かの拍子に目に入ってしまったら、そのラストページのことを忘れるために5年なり10年なり、時間を空けた上で読みましょう。そのレベルです。

 

読む前は「いや、図書魔女の新作は?!」ってなったけど、読み終わった今となっては「よく図書魔女書きながらこれ書けたな…」ってびっくりしてる。改めて高田大介に出会えて良かったと思う。

さて、とはいえまほりも読んだし、私の心は次こそ図書魔女と思っているわけですよ。今年中に何かしらの発表はあることを願いながら(期待のハードルは低くしてるけど笑)、気長に待とう。

 

あ、個人的に桐生先生の全てがツボだった。声出して笑った。朝倉先生も古賀先生もそうだけど、大学の教授とか何かを極めてる専門家って本当ああいう感じよね。あるあるすぎて面白すぎた。