つむぎめむすび

つれづれなるままに、何気ない今日を。

【十二国記・月の影 影の海】「……おいらには三歩だ」

くうううう楽俊んんん!!

やっぱり月影と言えばこのセリフ!!って人も多いのでは?それか「裏切」の場面か。もうほんっと、陽子ちゃんを切なく応援しちゃう月影は名言だらけで選ぶのが非常に難しいんだけど、初読の時一番ぐっときたこの一言を。「ぐっと」というか、もう「きゃーーー!!!!!」だよね。オタクなんで。

陽子の思い、楽俊の思い、それぞれ交錯して、この言葉に辿り着くのが、ねえ!なんかねえ!素敵よね!!(語彙力皆無)

「わたしが遠くなったんじゃない。楽俊の気持ちが、遠ざかったんだ。わたしと楽俊の間にはたかだか二歩の距離しかないじゃないか」

「……おいらには三歩だ」

「……これは、失礼」

ーー『月の影 影の海 下』148頁

 はううう、好き。この二人の関係性がだいすっき。「これは、失礼」って返すのがめっちゃ陽子らしくて、それも好き。だから楽俊に「ぶっきらぼう」って言われちゃうんだよね。

陽子と楽俊が港で再会する時の楽俊の言葉も泣けるよね。本当楽俊って言葉選びの天才すぎない?なんで楽俊が言うときれいごとに聞こえないの?心にすっと入ってくるの?

「そんなのおいらの勝手だ。おいらは陽子に信じてもらいたかった。だから信じてもらえりゃ嬉しいし、信じてもらえなかったら寂しい。それはおいらの問題。おいらを信じるのも信じないのも陽子の勝手だ。
おいらを信じて陽子は得をするかもしれねえし、損をするかもしれねえ。けどそれは陽子の問題だな」112頁

生活してると、自分で勝手に相手に期待してイライラしたり落胆したりしてしまうことがある。でもそれって自分の勝手なんだよね。勝手に相手を見定めて「この人ならこうしてくれるだろう」って期待してしまうから、そのギャップがあった時に相手の落ち度に見えてしまうだけで。

あくまで自分の問題。それなのについ他者に原因をなすりつけてしまう。ずっと心にあったもやもやを楽俊がうまく言葉にしてくれて、すごくすっきりしたし、腑に落ちた。

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そして大名言。 

「裏切られてもいいんだ。裏切った相手が卑怯になるだけで、わたしの何が傷つくわけでもない。裏切って卑怯者になるよりずっといい」84頁

陽子が人を信じることと、人が陽子を裏切ることは何の関係もないはずだ。陽子自身が優しいことと他者が陽子に優しいことは、何の関係もないはずなのに。84頁

これもそうだよね。結局自分。自分の気持ちは自分のもの。そこに周りは介入しない。関係ない。それを忘れちゃいけない。自分への戒め。

「…強くなりたい…」

世界も他人も関係がない。胸を張って生きることができるように、強くなりたい。85頁

 はあ泣ける!泣きたいほど応援したくなる。全く知らない土地で命狙われて訳わかんない状態で、ただただ必死に生きようとする陽子に共感しすぎてしすぎて…。

王になるか悩んでるところも、共感できるから切なくて…。胎果だからもともと常世の人なんだって言われても、やっぱり陽子にとって常世異世界だろうし、でもこの事実を知ってしまった以上蓬莱に戻ってもそこは異世界って辛すぎませんか…。女子高生が背負うにしては重すぎるよ…。
なんで蝕とかあんねん…。王になるにしてもせめて常世スタートにしてやらんかい。ま、そこにロマンがあるんだけれども。 

「それでなくても、今日までずっと帰りたいって、絶対に帰るんだって、それだけで頑張ってきたことを諦めるのはすごく辛い…」246頁

 だよね…。ずっと帰る方法聞いてたもんね(号泣)王がどうとか常世がどうとかじゃなく、ずっと掲げてきたものを諦められないってのが、また陽子らしい。

「どっちを選んでいいか分からないときは、自分がやるべきほうを選んでおくんだ。そういうときはどっちを選んでも必ずあとで後悔する。同じ後悔をするなら、少しでも軽いほうがいいだろ」246頁

来ました、裸楽俊。楽俊大先生。金八先生もびっくりの名言連発であります。もう一家に一台楽俊欲しいわ。悩んでる時にめちゃくちゃ欲しい言葉くれるやん。王になって欲しいのに、どっちにしろ後悔するって認めてくれるのまじ楽俊。

 

 そして、楽俊の次にいい仕事したのは冗祐では?

ーーわたしは知っている。
玉座を望みなさい。あなたになら、できるでしょう。216頁

てか、景麒の使令って主と違って(!)ギャグセン高いと思うの私だけ?いや、ギャグセンって言い方があってるのか分からないけど、面白みあるよね。
景麒の嫌味は鋭すぎる刃だけど、使令の嫌味は笑えるレベルっていうか…。でもそんな
景麒を分かってる使令たちが可愛くて。バランス取れてんな~ってほのぼのする。


景麒を奪還し改めて契約を交わして始まった陽子の物語。
月影は、前半はひたすら陽子と一緒に戸惑って怖がって悩んで、同情して。
後半は謎は解明されていったけど、王になるかという大きな選択が目の前に来てまた同情して。でも陽子の成長にびっくりして。ああ、陽子、あなたなら大丈夫だよ、頑張れ…ってなって。

最終的な感想が「胎果やべえ」だった(当時の読了後の感想一言目)。まじ語彙力wwこんなにいい小説読んどいてww

なにはともあれ、彼女の作る国がどうなっていくのか、楽俊と一緒に楽しみにしていきたいと思った。

 そして『魔性の子』の次に月影読んで、ここらで一気に十二国記の世界にハマった気がする。陽子のイケメンっぷりにもきゅんとして、楽俊にきゅんとして、あれ、これって恋愛ものだっけ、みたいな。

 

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(まさかこんなに真面目に振り返ると思ってなくて、書いてる順番がまるでバラバラ笑)

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