つむぎめむすび

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平安朝和製シンデレラ『おちくぼ姫』田辺聖子

田辺聖子さんの『おちくぼ姫』を読みました。

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内容(「BOOK」データベースより)
貴族のお姫さまではあっても、意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで一日中縫い物をさせられ、床が一段低く落ちくぼんだ部屋にひとりぼっちで暮らしている姫君―といえば“シンデレラ姫”を思い浮かべることでしょう。姫君と青年貴公子のラブ・ストーリーでもある「おちくぼ姫」は千年も昔に書かれた王朝版「シンデレラ物語」です。若い読者のために現代語訳された、とびきり面白い物語を楽しんで下さい。

「日本のシンデレラストーリー」「平安時代のシンデレラ」と言われる、おちくぼ物語。

 

これは古文の現代語訳というより、もはや小説。現代語訳の可能性をすごく感じる作品だった!そして、古文好きとしてはこういう形でいろんな人の手に古文が渡るのはすごく嬉しい。

 

まず、落ち窪んだ部屋にひとりぼっちだから、「おちくぼ」と呼ばれてるってのが、安易なあだ名過ぎて可哀想で、あだ名の付け方って昔も今も大して変わらないんだなと思った(笑)

 

とにかく田辺聖子さんの文章がすごい。「え、この言葉何?調べよう…」と思った次の文で、ちゃんと説明がされてあったり。しかもその説明も文章の流れに逆らわず、シーンの一種として描かれてるからすごく自然。

 

平安時代のこういう文学作品に出てくる人たちって貴族のお遊び的なイメージあったけど(どんな偏見)、高い身分じゃない人も活躍してたりして、読んでて楽しかったし、気付けば登場人物たちを全力で応援してた。

個人的には主人公の恋より四の君の恋模様が好きだったなあ(^ν^)

 

田辺聖子さんの自由な『おちくぼ姫』を読んでたら、原文も読みたくなってきた!伊勢物語に続き、自分的古文ブーム来そう…!

 

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